日本で3番目に広い面積を誇る福島県は、雄大な自然に恵まれた環境や戊辰戦争の拠点ともなった歴史的な背景から、多種多様な文化が発展してきました。
また福島県の広大な土地は「会津地方」「中通り」「浜通り」の3つの区域に分かれており、それぞれが土地の利を活かした独自の文化を発展させてきたことも、福島県が多彩な伝統工芸品を育むに至った理由でもあります。その数はなんと40品目!漆器や織物、陶磁器など昔ながらの技法を活かした工芸品が揃います。
今回はその中でも、現在の暮らしにも馴染むようなインテリア的な美しさや愛らしさを持つ伝統工芸品とそれらが手に入るお店をご紹介します!
新型コロナウイルス対策
新型コロナウイルスの影響で日々状況が変化していますので、最新情報については各施設のHPをご確認ください。 また、外出自粛要請の出ている地域において、不要不急の外出はお控えください。 感染症の予防および拡散防止のために、咳エチケット・手洗い・アルコール消毒・マスク着用などを心がけるようお願いいたします。
【会津地方】歴史的情緒のあふれる工芸品の数々
まずは、福島県の西部に位置する会津地方から。鶴ヶ城や大内宿などの観光スポットから、喜多方ラーメンや煮込みカツ丼などのグルメもある福島県屈指の観光都市です。歴史的背景としては鶴ヶ城の城下町として栄え、藩士や町人たちの暮らしを彩る工芸品がたくさん生まれました。
鶴ヶ城にも使われた会津本郷焼
最初にご紹介するのは鶴ヶ城のアイコンでもある赤瓦でも有名な「会津本郷焼」です。約400年前に播磨の職人を呼び寄せ鶴ヶ城修復用の瓦を作らせたことが起源だと言われ、会津藩主に大切に守られながら発展してきました。戊辰戦争の際にたくさんあった窯元も甚大な被害を受けましたが、文化伝承のために集まった有志により再興され、今でも15ほどの窯元が現存しています。
磁器と陶器のどちらも作っている点も珍しく、多くの焼き物ラバーが観光に訪れます。東北最古の白磁の産地としても有名です。
会津本郷焼はここで!シンプルな機能美をもつ器を作る宗像窯
奈良時代に福岡県の宗像大社から移り住んだ布教使が起こしたことに由来して、1719年に開業した宗像窯。会津の素材の味を伝統の技法を駆使して存分に活かした器が並び、国際的な展覧会でもグランプリを受賞するほどの実力派です。
釉薬による美しい輝きと力強くも繊細な作風で生み出されるモダンな美しさは、盛り付ける食事をいっそう美味しそうに魅せてくれます。
宗像窯の基本情報
- 施設名
- 宗像窯
- 住所
- 福島県大沼郡会津美里町字本郷上甲3115番地
- TEL
- 0242-56-2174
- 営業時間
- 9:00~17:00
- 定休日
- 毎週水曜日
- 公式サイト
- https://www.munakatagama.net/body/aisatsu.html
海外での人気も誇る会津塗
400年の歴史を誇る「会津塗」、その産地である会津地方は漆の栽培から加飾までのすべて手掛ける、漆の一大産業地でもあります。
会津塗完成させるための技術は多岐に渡り、渋い味を出す「鉄錆塗」やもみ殻をまいて模様を出す「金虫喰塗」、木目の美しい「木地呂塗」、美しい塗肌の「花塗」など、一番美しく仕上げるために最適に組み合わせながら作られています。海外にの人気も高い会津塗、ぜひ現地で手に入れたいですね!
会津塗はここで!多彩な会津塗商品をそろえる福西惣兵衛商店
会津塗を末永く伝承していくことに使命感を燃やし1919年に開業した福西惣兵衛商店は、老舗問屋としての幅広い品揃えが自慢です。いつも数100点の在庫を持ち、伝統的なものからカラフルやシックなものまで、お気に入りのものがきっと見つかる豊富ラインナップ!
モダンなデザインのものも多く、現代の食事との相性抜群なものもたくさんあり、お土産としても人気が高いです!
福西惣兵衛商店の基本情報
- 施設名
- 福西惣兵衛商店
- 住所
- 福島県会津若松市大町1-1-45
- TEL
- 0242-27-0845
- 営業時間
- 9:30~17:30
- 定休日
- 無休(臨時休業あり)
- 公式サイト
- https://aizunuri-fukunishi.co.jp/
経年変化による美しさを楽しめる奥会津編み組細工
奥会津の山間で採取した山ブドウやマタタビ、ヒロロなどを使って丁寧に作られるカゴやザルなどの工芸品を、奥会津編組み細工といいます。その歴史のはじまりはなんと縄文時代!
近郊にある荒屋敷遺跡から、1万点ほどの編み細が出土しました。今でも農業がはかどらない降雪時期の手仕事として伝承され、一つひとつ丹精な手作業で作られるために生まれる、個性豊かな表情が魅力です。堅牢で素朴な風合いをぜひお楽しみください!
奥会津編み組細工はここで!三島町の工芸品がたくさんの生活工芸館
生活工芸館の基本情報
- 施設名
- 生活工芸館
- 住所
- 福島県大沼郡三島町大字名入字諏訪ノ上395
- TEL
- 0241-48-5502
- 営業時間
- 9:00~17:00
- 定休日
- 月曜日、祝日の翌日、年末年始
- 公式サイト
- http://www.okuaizu-amikumi.jp/
武家文化を継ぐ街会津には伝統工芸はまだまだある!
福島県の中心的都市として栄えた会津地方には、ご紹介してきた以外にもたくさんの伝統工芸品があります。ゆらゆらと揺れる首の動きと愛らしいお顔がチャーミングな「赤べこ」は厄除けのお守りとして、会津の人々を始めとして全国で愛される伝統工芸品です。心を和ませる優しい顔つきが特長の「起上り小法師」も七転び八起きの教訓として伝承されています。
観光都市でもある会津若松周辺には、これらの伝統工芸品作りを体験できる施設もたくさんありますので、ぜひお立ち寄りください!
【中通り】福島の中部では鮮やかな彩りの伝統工芸が人気!
次に、県の中央部にあり奥羽山脈と阿武隈山地に挟まれた位置にある中通りの伝統工芸品をご紹介!
飯坂温泉をはじめとする温泉地が数多く、経済の中心地である郡山市もあることから、多くの人が行き交う賑やかな土地でもあります。桃やリンゴなどの良筆なフルーツが育つフルーツラインもあり、山々の紅葉含め四季による彩りを感じやすい地域です。
あらゆる福をのせ多様に光る個性が魅力の白河だるま
中通りの伝統工芸品といえば、市民の生活をより元気にしたいという想いを込めて作られる「白河だるま」。幸運をもたらす縁起物として愛され続け、今日まで約300年間の歴史を重ねてきました。
白河だるまの特長といえば、幸せの象徴とされる「鶴亀松竹梅」をすべて描いたあまりにもおめでたいお顔模様!願いをしっかりと受け止めてくれそうで嬉しいですね!ご存知の通り、お願い事をするときに左目を、成就したら右目を入れるのが慣習です。
白河だるまはここで!個性あるカラフルなだるまが出迎える白河だるま総本舗の渡辺だるま店
渡辺だるま店の基本情報
- 施設名
- 渡辺だるま店
- 住所
- 福島県白河市横町30番地
- TEL
- 0248-23-3978
- 営業時間
- 9:00~19:00
- 定休日
- 不定休
- 公式サイト
- http://www.shirakawadaruma.com/
福島中央部の中通りエリアのその他の伝統工芸品
中通りのその他の伝統工芸品といえば、坂上田村麻呂の蝦夷遠征に由来する子育馬として愛されてきた「三春駒」や木型に和紙を張りさまざまな形を模した「三春張子」があります。
自然の彩りに触れてきた中通りの人々の感性が活きたカラフルな色合いが特長で、生活をより華やかにする愛らしさがあります。
【浜通り】広大な太平洋を反映したような美しい伝統工芸品
最後は、県の東側にある太平洋に面した「浜通り」を代表する伝統工芸品をご紹介します。比較的日照時間が長い地域で、広大な太平洋を始めとした雄大な自然の中で暮らす先人の感性が活かされた賑やかで力強い作風が特長的です。
【指定】豊北最大の焼物産地となった大堀相馬焼200
一時は100以上の窯元があり、東北最大の産地にもなった「大堀相馬焼」。青磁釉を使用し、壮大な太平洋を映し出したかのような青みのある透明感が特長で、福島の焼き物と言えば「大堀相馬焼」とも言われるほどの根強い人気があります。
窯元が共同で「福の豆皿セット」などの商品を開発するなど、一致団結して伝承していく雰囲気も魅力の一つです。
大堀相馬焼はここで買おう!女性目線を大切にした繊細な器を提供する近徳 京月窯
300年以上前の元禄の時代から十五代にわたって引き継がれてきた「近徳 京月窯」。初めての女性窯主が生み出す器は、女性ならではの感性の光る生活に密着した遊び心のあるデザインのものばかり。優しいかたちや色使いでもありながら、しっかりとした個性を主張するデザインで、器の新しい使い方の提案を続けています。
近徳 京月窯の基本情報
- 施設名
- 近徳 京月窯
- 住所
- 福島県福島市飯坂町平野字道南4
- TEL
- 024-542-2818
- 営業時間
- 9:00~18:00
- 定休日
- 不定休
- 公式サイト
- https://kyogetsugama.jp/
太平洋を望む福島県の浜通りエリアで愛されるその他の伝統工芸品
浜通りエリアでは、子どもの成長を祝う縁起物として「いわき絵上り」も有名です。豆汁で溶いた15種類の顔料を使い、木綿地に色鮮やかに描かれたのぼりは、お祝いの催しを華やかに演出してくれます。手ぬぐいや卓上のちび上りもあり、贈り物としても最適ですよ!
福島観光のお土産にはモダンな魅力あふれる伝統工芸品を
今回は福島県の数ある伝統工芸品の中でも、現代の生活にも馴染むモダンな美しさをもつ品々をご紹介してきました。お好みのものは見つかりましたでしょうか?
その土地の暮らしや風土を反映し、その土地らしさをいっぱいに詰み真心を込めて伝承される伝統工芸品は、旅の思い出としても大切な誰かへのお土産としても最適です。お気に入りの一つを見つけに、ぜひ足を運んでみてくださいね!